バリ島の世界遺産

バリ島の「トリ・ヒタ・カラナ」の哲学を表現したスバックシステムが2012年ユネスコの世界文化遺産に登録されました。
トリ・ヒタ・カラナとはサンスクリット語で、神と人、人と人、人と自然という三者は調和するというバリヒンドゥー教の哲学であり、スバックというバリの水利システムは公平な水の分配を行う組織であり、スバックごとにスバック寺院があり、水の神や稲の神などを祀る宗教儀礼とも密接に結びついています。
バリの棚田はバリヒンドゥー教の哲学と水利システムによって支えられている文化的世界遺産になります。
具体的にバリ島の世界遺産は5つの場所に分けられます。

(目次)

ウルン・ダヌ・バトゥール寺院

水の神デウィ・ウルン・ダヌを祀る寺院

バトゥール湖を静かに見下ろすように立てられたウルン・ダヌ・バトゥール寺院は、元々はバトゥール湖畔に建立されていましたが、1926年のバトゥール山の噴火後に今の場所に移設されました。

ウルン・ダヌ・バトゥール寺院には水の女神デウィ・ウルン・ダヌが祀られています。寺院敷地内にある11層のメルと建物は美しく、また、寺院から眺めるバトゥール湖は絶景です。

ウルン・ダヌ・バトゥール寺院はもとは仏教寺院でしたが、その後、バリヒンドゥー教が伝わり、仏教寺院とバリヒンドゥー寺院の2つの寺院が混在するめすらしい寺院です。

ウルン・ダヌ・バトゥール寺院にはお寺に入る為の腰布を高額で販売する物売りがいますので、購入の際には十分に注意しましょう。

バトゥール湖

スバックシステムを支える水源として

バトゥール山とアバン山に挟まれた三日月形をしたカルデラ湖で、水の女神、デウィ・ウルン・ダヌが棲む湖とされています。また、湖周辺の水源地として周辺地域の田園に水を供給しています。

バトゥール湖を含むキンタマー二高原はバリ島の景勝地として人気です。雄大なパノラマの景色を眺めながら、インドネシア料理のブッフェランチ楽しむことができます。

また、地球上に13ヶ所あるチャクラの中の第一のチャクラとして、世界屈指のパワースポットとしても人気。

湖の近くには温泉があり、また、湖の東側にはバリ島先住民のバリアガが今も独特の風習もを持って暮らす村があります。

パクリサン川流域のスバック景観(ティルタエンプル寺院、グヌンカウィ)

スバックシステムによるバリ最古の景観が残る地域

インドラ神が杖で大地を突いて湧き出させたという伝説の泉のティルタエンプルと、バトゥール山からの水が合流したパクリサン川の流域のスバックシステムが育んだバリ最古の景観が残っている。

パクリサン川のもとの1つとなる水源の湧き水は、バリヒンドゥー教では聖なる水とされ、この湧き水で沐浴で身を清めると、色々なことが浄化されるとされている。

ティルタエンプル寺院での沐浴はバリヒンドゥー教徒以外も行うことができるが、きちんとルールを守って沐浴をするようにしましょう。また、写真を撮る際も失礼にならないように注意しましょう。

グヌンカウィはパクリサン川の両側の岩肌に彫られた王家の陵墓で、当時、インドの影響がインドネシアに伝わっていたことを示す遺跡でもある。

バトゥカル山のスバック景観(ジャティルウィの棚田)

バトゥカル山保護区スバックの景観を代表するポイント

一面の渓谷に作られた見渡す限りの美しい棚田は、平地がほとんど無く、水の確保が難しい土地にも関わらず、豊かな水田が広がるのは1000年以上も前から続くスバックシステムによるもの。ジャティルイとはバリ語で本当に素晴らしいという意味。その名の通り、素晴らしい景色が訪れた人を魅了します。
一年を通じて稲作が可能なバリでは、田植えの時期が決まっておらず、田んぼによってバラバラ。訪れる時期により、稲が刈り取られた後だったり、稲穂が実っていたりと様々。どんな様子の田んぼでも美しいと感じるほど、棚田の景色は魅力的。
棚田が良く見える場所にはレストランもあり、ランチや休憩をしながら、棚田の景色を眺められるようになっている。

タマンアユン寺院

水の神殿と言われるスバックシステムを管理する施設にもなっている美しい寺院

何層ものメルが何基も整然とならぶ様子が美しく、バリ島で一番美しいお寺と言われるタマンアユン寺院は、水や豊穣への感謝をする寺院でもあり、水の神殿とも言われています。周辺地域の棚田に流すための水を管理している施設でもあります。
寺院の庭園内はとても綺麗に手入れをされていて、その名の通りバリ語、タマンアユン=美しい庭を意味します。
寺院の境内に入ることはできないため、周囲の遊歩道を周りに掘られたお堀の塀越しに歩いて見物をすることができます。
地元民には恋愛成就のお寺としても有名で、カップルで参拝に来る人も多いお寺です。

バティック(番外編)

インドネシアの世界無形文化遺産

世界無形文化遺産に指定されたインドネシアのバティックはろうけつ添めで本来1つ1つの模様を手作業で作っていきます。
バティックに描かれる模様はそれぞれの地域によって伝統の色や柄があり、特に有名なものはジャワ産のジャワ更紗、王宮文化が現在も続くジョグジャカルタやソロになります。
柄は模様に意味がある幾何学模様のものや、中国やインドの影響を受けた色鮮やかな花鳥柄など様々。
手書きのバティックは高価な物が多いですが、プリント物のバティックは手頃な値段で手に入れることができますのでお土産品としても人気があります。